学校でのいじめなどが社会問題として、大きくクローズアップされてきましたが、最近では、職場内でのいじめやパワハラについても注目され、労働問題の中でリストラや残業代未払いなどと共に、大きな問題となっています。

いじめにより、被害者の人格権の侵害があった場合には、加害者に対し、民事上の責任を追及することが可能となります。

また、傷害などを負わされた場合にも、当然、加害者に対し、損害賠償の請求をすることができます。
 

1 法的責任

 いじめ・パワハラによる人権侵害の場合の法的責任は、不法行為責任、債務不履行責任、使用者責任、使用者と加害者の共同不法行為責任などが考えられます。

 使用者の部下である者が人格権の侵害行為を行った場合には、その行った者は、当然に不法行為責任を負うことになります。
 ただ、使用者自身には、特に侵害行為がなくても、使用者が自分の意思でその部下である者を使って人格権の侵害をした場合には、使用者責任を負うことがあります。
 また、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と労働契約法5条に規定があります。
 上記の規定によると、使用者には、労働者が安全を確保して働けるようにする義務があることになりますので、いじめなどの場合には、この義務に対する債務不履行責任が発生することも考えられます。
 使用者が関与せず、同僚によるいじめがあった場合には、まず、その同僚などの不法行為責任が考えられます。ただ、その時の行為が事業の執行についてのものであれば、使用者の責任が発生することがあります。
 また、場合によっては、使用者と同僚の共同不法行為責任という責任形態も考えられます。

2 対処方法

 いじめの場合、過去にこういったことがあったなど、被害者の方が、加害者の加害行為の事実を立証をしなければ、損害賠償の請求をすることが難しくなります。

 このような、加害者が行ったことについては、証拠が残らない場合も多いですが、どういう事実があったかのかという実態を把握し、記録しておくことが重要になります。

 したがって、いじめによる人格権の侵害の場合には、証拠として、録音や録画、メモなどをとっておくことが大切になります。

傷害などがあり、病院に通院したり。入院した場合には、診断書や領収書をとっておき、病院までの交通費やかかった費用なども記録しておきます。

以上のように、これまでにあった事実の記録や証拠を収集したうえ、下記の方法による、対処を考えます。 また、下記の方法以外にも、法務省の人権擁護委員会への申立や刑事告訴なども考えられますが、ここでは割愛させていだだきます。

(1) あっせん

いじめ・嫌がらせなどによる職場環境に関する紛争解決法として、あっせんと呼ばれる制度があります。

あっせんとは、紛争当事者間でのお話し合いによる解決を図るものです。紛争当事者間には、中立・公平な第三者として、労働問題の専門家である弁護士などが入ります。当事者双方の主張を聞いて、要点を調整し、お互いに歩み寄りができれば、そこで和解します。

あっせんの申請は、都道府県労働総務企画室、最寄りの総合労働相談コーナーにあっせん申請書を提出して行います。 また、弁護士会にて行っているあっせんもあります。

あっせんは、裁判と比べると、手続きが簡単で、時間もかかりません。申立費用がかからないことも、メリットです。

また、労働者があっせんを申請したことにより、解雇されるなど不利益な扱いをされることは、禁じられています。

(2) 裁判所の調停

裁判所での話し合いで解決できそうな場合には、調停の申立てをすることもできます。調停の場合は、申立費用が安いこと、調停で和解が成立した場合、調停調書に記載された内容について確定判決と同一の効力を有することがメリットです。

(3) 労働審判

労働審判という制度は、「労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争」を解決するために創設された制度です。

原則として、3回以内の期日で解決することを目標にするため、早期の紛争解決になじむものです。

労働審判の手続きでは、まず調停が試みられます。調停が成立しない場合には、審判となりますが、審判では通常の訴訟に比較して、柔軟な解決法を提示することができます。調停が試みられることから、当事者双方がある程度の妥協をする意思があり、早期の解決を希望することがある程度見込まれる場合には有効な手段といえます。

また、相手方は、労働審判の期日に出頭義務があり、正当な理由がなく出頭しない場合には、5万円以下の過料に処せられます(ただし、呼び出しの方法が特別送達によらない場合には、過料が科されません)。

労働審判の場合、審判が出されてから2週間以内に適法な異議の申立てがなかった時には、裁判上の和解をしたのと同一の効力を生じます。適法な異議の申立てがされた場合には、労働審判事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされ、その地方裁判所に事件は係属します。

(4) 民事訴訟

いじめなどを原因として、人格権の侵害があれば、発生した損害の賠償を請求できることになります。

裁判上、請求する損害賠償については、積極損害、消極損害、慰謝料が考えられます。

i)積極損害は、治療費、カウンセリング費や病院に通院する場合の交通費、入院する場合には入院雑費、付添看護費などです。

ii)消極損害は、いじめなどによって治療をしなければならなくなってしまい、会社を休んだり、フルタイムで働くことができなくなった場合に、その間の収入が得られなくなってしまったり、減少したことで発生する損害です。休業損害などと呼ばれています。

iii)慰謝料は、いじめなどによって精神的な損害を被った場合に発生するものです。慰謝料の請求金額は、定型化されているわけではありません。

(5) 労災申請

いじめなどが原因で精神的な障がいを負ってしまった場合には、労災の申請をすることができます。一定の判断要件を満たすことにより、認められます(詳しくは、厚生労働省(旧労働省)の通達、平成11年9月14日基発第544号及びその一部を修正した平成21年4月6日基発第0406001号をご参照ください)

対象となる疾病は、原則として、国際疾病分類第10回修正(ICD-10)第5章「精神および行動の障害」に分類されているものとなります(ICD−10の第5章についても一部修正があります。修正箇所については、上記平成21年4月6日基発第0406001号をご参照ください)。

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